マーラーの大地の歌はマンハイム音大に在籍していたころ、学校のオーケストラでバスクラを演奏しました。そしてその時、プログラムの書き方という授業を取っていて、学校の公式プログラムに私のドイツ語で書いたプログラムノートが印刷されました。とはいってもやはり一人では全然かけなかったので、先生の添削が多く連名になっていましたが…。印刷されたのが嬉しかったことと、でも、すごく悔しかったのを今でも覚えています。
今日はその前半を日本語に訳してみました。
「…私はとても勤勉だった。…私自身、全体がどうなるのかがわからない。楽しかった、そしてこれは今までで一番個人的なものだと思う。…」1908年、マーラーはブルーノ・ワルターにこのように手紙に書いている。マーラーは、第9番となるはずだったこの交響曲に番号を付けなかった。おそらくそこには2つの理由がある。1つ目はこの「大地の歌」が交響曲、そしてオーケストラ伴奏による連作歌曲の両方の形を融合していること。2つ目は迷信からくるものだ。19世紀の偉大な作曲家たち、ベートーヴェン、ドヴォルザークやブラームスは10番目の交響曲を書く前、もしくは完成させる前に亡くなっている。だからマーラーはこの交響曲に番号を付けず、その後、公式に第9番を書いたのではないだろうか。しかし、運命はやってきてしまう。彼も結局10番目の交響曲を完成させることができず亡くなってしまう。
大地の歌は6楽章構成となっていて、楽章ごとにテノール、もしくはアルト(バリトン)のソロがある。歌詞はハンス・ベトゲの詩集「中国の笛」に基づいている。ベトゲの詩集は中国の詩を直訳したものではなく、フランス語に訳されたものを更に自由に編集したものである。なので、ベトゲとマーラーによる編集で間違って訳されているものもあり、元の詩を特定することが難しいものもある。
次回、後半を訳してみようと思います。