プーランク / クラリネットソナタ

プーランクのクラリネットソナタは、彼の友人であるオネゲルとの思い出のために書かれました。プーランクとオネゲルはフランス6人組としても活動を共にしています。そしてこの曲は、プーランク自身とベニー・グッドマンの二人で初演が予定されていました。しかし、その初演の直前、プーランクは突然の心筋梗塞で亡くなってしまい、二人で演奏することはついにありませんでした。オネゲルの思い出に書かれたこの曲は、カーネギーホールで行われたプーランクのメモリアル・コンサートでベニー・グッドマンとバーンシュタインによって初演されました。このクラリネットソナタは本当にユーモアにあふれていて、オネゲルとプーランクの仲の良さがうかがえます。ただその分、時折、プーランクの悲しみも深く感じとれます。 Diese Sonate sollte eigentlich mit Poulenc persönlich uraufgeführt werden. Das konnte leider nicht mehr realisiert werden, da Poulenc im Januar 1963 plötzlich an einem Herzinfarkt starb. Die Uraufführung der Sonate fand im April 1963 in der Carnegie Hall anlässlich des «Composers’ Showcase Francis Poulenc Memorial Concert» von Goodman und Leonard Bernstein am Klavier statt.Continue reading “プーランク / クラリネットソナタ”

コープランド / クラリネット協奏曲

コープランドはこの曲を作曲する際、このように話しています。「もしベニーが私に作曲を依頼することがなかったら、私はクラリネット協奏曲を書くことはなかっただろう。」と。彼はこの曲の作曲をしているとき、ベニー・グッドマンのジャズの録音を持ちながら、南アメリカを旅行していました。なので、この協奏曲にはジャズ、更には南アメリカの民族音楽の要素も使われています。コープランドはジャズの効果を引き出すため、オーケストラを弦、ハープ、ピアノに限定しました。この協奏曲には2つの版が存在します。それは、まず最初に出来上がった「オリジナル」と、ベニー・グッドマンのために「簡単にしたもの」です。最初に仕上がった楽譜をもらった時に、ベニー・グッドマンはコープランドにテクニック的に難しい場所の変更を依頼します。その時のことをコープランドはこのように振り返っていました。「ベニーは何カ所かの変更を申し入れました。その一つがカデンツァの高音でした。しかし、彼にはこの音が演奏できるはずなんだ。私は彼の録音を聞いて、彼がこの音を演奏しているのを聴いたのだから。」インプロで演奏するものと、計画された楽譜に書かれたものでは、違ったのでしょうか?コープランドは申し入れを受け入れ、彼のために数カ所書き直しています。書き直された楽譜には、しっかりと「ベニー・グッドマンには難しすぎる」と書かれています。その後も、ベニー・グッドマンはこの曲に苦戦していたようで、もともと予定されていた初演をまだ準備が整っていないと彼は一度断っています。彼が演奏することになったのはその約1年後でした。ベニー・グッドマンはそれでもその後このようにこの曲のことを語っています。「コープランドの指揮のもと、この協奏曲を演奏するのはいつも気分が良い。」と。 この曲はカデンツァをはさみ続けて演奏される2楽章構成です。1楽章はゆっくりなワルツ、2楽章にはアメリカの民族音楽の要素、チャールストン・リズム、ブギウギ、ブラジルの民族音楽など用いられています。 Copland: Klarinettenkonzert Copland ist während dem Kompositionsprozess des Klarinettenkonzertes durch Südamerika gereist und benutzte nord- und südamerikanischen Volksmusik Elemente. Das Konzert wurde mit einer Jazz-Intention komponiert: «Da die Orchestrierung sich auf Klarinette, Streicher, Harfe und Klavier beschränkt, hatte ich kein großes Schlagzeug zur Verfügung, um Jazz-Effekte zu erzielen. Also verwendete ich ‹slapping basses›Continue reading “コープランド / クラリネット協奏曲”

バルトーク / コントラスツ

作曲家は作曲するとき、自分が演奏できる楽器のため、依頼を受けて、もしくは友人・知人のために作曲することがほとんどです。クラリネット作品に関しても、同じように作曲されてきました。例えば、モーツァルトのクラリネット協奏曲はアントン・シュタットラーに、ウェーバーのクラリネット作品の多くはカール・ベールマンに、そしてブラームスの作品は、リヒャルト・ミュールフェルドに。いずれも当時、活躍していたクラリネットのヴィルトゥオーゾたちです。前の記事でも書きましたが20世紀の作曲家にとって、ベニー・グッドマンはそういった存在でした。 ベニー・グッドマンにとっての最初のクラシック音楽の作曲家との仕事はバルトークのコントラスツでした。彼はバルトークにヴァイオリニストのシゲティと演奏するためにそれぞれの楽器のカデンツァが含まれる2楽章構成の作品を依頼しました。そうして作曲されたのがコントラスツの1楽章と3楽章です。1楽章にはクラリネットの、そして3楽章にはヴァイオリンによる華やかなカデンツァがあります。2楽章はバルトークからのサプライズでした。ベニー・グッドマンは、当時のことをこのように振り返っています。「現代音楽を聴く人々がバルトークのような作曲家がスコアに書き記したすべてのことを理解して聴いているとは思えません。複雑に聴こえているときでも、すべての音はその場所でそれぞれに意味を持っている。」 1楽章Verbunkosはもともと軍隊の隊員募集の際に使われた舞曲です。この舞曲は付点のリズムが使われるゆっくりな部分とテンポの速いヴィルトゥオーゾの部分から成り立ちます。1楽章はヴァイオリンのピッチカートから始まり、クラリネットがその後、Verbunkosのテーマを引き継ぎます。2楽章Pihenöは1楽章、3楽章に比べてほとんど民族音楽の要素は含まれておらず、どちらかというと夜の音楽のようなスタイルになっています。3楽章Sebesではヴァイオリン奏者はGis-D-A-Esと調弦された楽器が必要です。この楽章は速くエネルギッシュな部分とブルガリア音楽のリズムを持つトリオから構成されています。この曲の構成は全体に大きなコントラストを作り出しています。ヴィルトゥオーゾで民族舞曲の要素をもつ1楽章と3楽章、それに対する静かな2楽章。そして1楽章ではクラリネットが、3楽章ではヴァイオリンが重要で、それぞれの楽章にカデンツァがあります。 Bartók: Kontraste für Violine, Klarinette und Klavier Benny Goodmans erste Zusammenarbeit mit einem klassischen Komponisten war im Jahr 1938 mit Béla Bartók und seinem Werk «Kontraste». Der ungarische Geiger Joseph Szigeti beantragte bei Bartók ein Werk für ihn und Goodman. Beide wollten zuerst nur ein Stück mit zwei Sätzen haben, aber BartókContinue reading “バルトーク / コントラスツ”

Benny Goodman

まずは、私のチューリッヒでのマスタープロジェクトのプログラムノートから。テーマはジャズクラリネット奏者ベニー・グッドマン。私がクラリネットが好きになっていくきっかけのひとつでもあります。 ベニー・グッドマンクラシック音楽における彼の旅 「キング・オブ・スイング」、ベニー・グッドマンは有名なアメリカのジャズクラリネット奏者であり、バンドリーダーです。1938年、彼はニューヨーク・カーネギーホールでジャズのコンサートを開催しました。当時、アメリカではまだ人種差別が色濃く残っていましたが、演奏会ではアフリカ系アメリカ人の奏者もともに演奏し、大きな話題となりました。ベニー・グッドマンはクラシック音楽界でも重要な存在です。多くの20世紀の作曲家、例えばヒンデミット、ミヨー、アーノルド等は、彼に作品を献呈しました。そしてそれらの作品は今でも私たちクラリネット奏者にとってとても重要なレパートリーです。彼にとってジャズとクラシックは2つの異なるジャンルではなく、2つの補い合うジャンルでした。「クラシックでは、音の質、他の楽器、フレーズ、テンポなど、作曲家がどのように作品を作曲したのかを考えて、その音楽の中でベストなものを表現する。それがすべて整って、他の演奏家と同じアイディアを感じることができれば、それはジャズ奏者が「スウィング」と呼ぶものと全く同じなのです。」 Benny Goodmanseine Reise zur klassischen Musikwelt Der «King of Swing», wie man Benny Goodman auch nannte, war ein sehr berühmter amerikanischer Jazzklarinettist und Bandleader. Im Jahr 1938 gab er sein erstes Jazz-Konzert in der New Yorker Carnegie Hall mit seiner Big Band, dem Benny Goodman Orchestra und anderen berühmten Gastmusikern, darunter auchContinue reading “Benny Goodman”

ブログ nur auf japanisch

日本語限定でブログをはじめてみようかと思います。 内容は、 プログラムノートを中心に。 今までいろいろとプログラムノートを書いてきました。 その作業で色々なことを調べて、コンパクトにまとめたものを印刷してきました。 でも、私のメモの中にはたくさんの他の情報も。 それを少しずつ、公開していく場所にしようかと思います。 不定期更新ですが、 どうぞよろしくお願いいたします。 杏里