ライヒャ / 木管五重奏曲

最も古い5つの異なる木管楽器で演奏される五重奏曲は18世紀後半の作曲家、Franz Anton Röslerが作曲しました。その曲はフルート、オーボエ、クラリネット、イングリッシュ・ホルンとファゴットのために書かれています。クラリネットの歴史から言っても、その前にクラリネットが含まれる木管アンサンブルはほとんどないと思われます。
19世紀前半には16の作曲家が約66の木管五重奏曲を書いたとされています。その中にアントン・ライヒャが書いた24の木管五重奏曲も含まれます。

今の木管五重奏のスタンダードには木管でないホルンが入っています。その歴史のはじまりはだいたい18世紀後半ころまでさかのぼります。ドイツではその頃、管楽器の室内楽といえばハーモニームジークが盛んでした。その編成のスタンダードはオーボエ、クラリネット、ホルンそしてファゴット奏者が2人ずつの八重奏です。フルートは入っておらず、このころにはもうホルンが木管楽器と一緒に室内楽をしていました。この伝統はおそらく軍の音楽隊の編成がそうだったことに基づいていると思われます。

アントン・ライヒャは1770年プラハに生まれます。チェリストであった叔父であるヨゼフ・ライヒャよりフルート、ヴァイオリンそしてピアノのレッスンを受けます。どうやらベートーヴェンと同時期にボン大学に在籍していたようで、ハイドンともコンタクトを取っていたそうです。その後パリへ移りコンセルヴァトワールの対位法の教師をしました。生徒の中にリストもいたそうです。

彼の24の木管五重奏曲は1810年から21年の間にそれぞれ6つずつ作品88、91、99、100として書かれました。ライヒャは作曲の際、ハイドンの弦楽四重奏の作曲方法を手本にこれらの曲を作曲したと思われます。
これらの木管五重奏曲はパリの木管楽器奏者のエリートたちに初演されます。フルートはドゥヴィエンヌの生徒であったJ.Guillou、オーボエはG.Vogt、クラリネットはJ.J.Bouffil、ホルンはL.F.Dauprat、ファゴットはA.N.Henryで、彼らは「ライヒャ五重奏団」と呼ばれました。

この時代、木管楽器は楽器開発の最も盛んな時期でした。多くの木管楽器の改良につながっていく「ベーム式」も19世紀前半に発明されます。ライヒャ五重奏団のクラリネット奏者Bouffilが使っていたクラリネットには6つしかキーがついていなかったそうです。その楽器はクラリネットのエチュードでおなじみのルフェーヴルが発展させたものです。

それぞれの作品には詳しく突っ込みませんでしたが、木管五重奏曲のはじまりをライヒャを中心に書いてみました。室内楽が大好きなクラリネット奏者としては木管五重奏曲をしないわけにはいきません!
弦楽四重奏とは違い木管楽器は音の発生の仕方が違います。オーボエとファゴットはダブルリードで似ていますが、それ以外は全く別の仕掛けです。その5つの楽器が一緒に聴こえるとき、本当に新しいサウンドが出来上がります。今後、どんどんと取り組んでいきたい編成の一つです。

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